物理学会領域2の皆様へ

10月より領域2代表になりました横浜国立大学の石原修です。
今後われわれの目指す領域2の方向を小野靖前代表、田中和夫副代表、新役員そして皆様と一緒に考えていければと思います。

【はじめに】

日本物理学会は国内外の物理学研究者・教育者・技術者約 20,000名を擁する組織で、会員の40%が大学、26%が民間会社、10%が官公庁に所属しており、大学院生を含む学生は13%ということです。

発足は1877年で、「東京数学会社」として出発、その後1884年に「東京数学物理学会」、1918年に「日本数学物理学会」と改称し、1945年に「日本数学会」と「日本物理学会」に2分され、1946年に第1回年会が東京帝国大学で開かれています。そのとき、発表数は222だったということです。そのときに分科会が応用数学、物性論、光学、放電物理、磁気、素粒子、力学と決められています。2007年、先日行われた札幌での年会は第62回です。途切れることなく続いてきた先輩たちの苦労と情熱により此処までやってくることが出来ました。

【領域2への経緯】

  1. 1962年には名古屋大学プラズマ研究所が開所され、物理学会の中でプラズマグループはプラズマ物理・核融合分科会として活動してきました。

  2. 次第に細分化していく分科会の活動の中で、1995年に、「日本物理学会」としての50周年を機会に、横のつながりを強化することを目指した改革が議論されました。

  3. 物性分科会の変更の議論のなかで、1999年秋から物性分科はプラズマ・核融合、原子分子・量子エレクトロニクス、多体系・非平衡系、フロンテイア領域、物理教育の各部会と凝縮系8領域(計13領域)に再構築されることになりました。プラズマ物理・核融合は放電分科と統合されて「領域2」として出発することになったのです。

  4. その後、2004年に領域委員会規定が制定され、領域2では4つの柱、「プラズマ基礎、プラズマ科学、核融合プラズマ、プラズマ宇宙物理」を立て、その学問領域を明確にしています。

  5. 領域2の活性化をめざして、2005年からは、物理学会、天文学会、地球電磁気・地球惑星圏学会の3学会で、年会の際に「プラズマ宇宙物理」の合同セッションが開催されています。

【国際連携】

学会の連携を図るということでは、物理学会では、1973年にはオーストラリア物理学会との協力関係を成立させ、1985年以来アメリカ物理学会、韓国物理学会、ヨーロッパ物理学会など世界の物理学会と相互協定を結び、互いの会員が同等の資格で活動に参加できるようにしています。

【国内連携】

プラズマ関連の動きとしては1978年に核融合連合講演会が物理学会、応用物理学会等の共催により開かれ、1983年にはプラズマ・核融合学会が発足し、プラズマ・核融合学会と日本原子力学会によって1995年以降、ほぼ2年おきに核融合エネルギー連合講演会が開かれています。多くの学協会で活動しているプラズマの基礎・応用分野の研究者・技術者が一同に会する国内では初めての試みとして2001年と2005年にはプラズマ科学シンポジウムがプラズマプロセシング研究会 (応用物理学会プラズマエレクトロニクス分科会) との合同で開催されています。

【領域2の新体制と将来】

こうした歴史的な発展を背景として、領域2では、会員の研究成果の発表の場の提供と、会員の研究上の便宜をはかることを目的として、プラズマ物理学の活性化と学術的レベルの向上を目指して、活動をさらに充実したものとしていきたいと思っております。領域2の過去10回の学会発表件数は160~300で推移し、平均196件です。メーリングリスト(PlasmaML@nifs.ac.jp)には625名の登録があります。もっと発表件数が増えて、学会の中で活発な議論を通して、学術的に、それこそプラズマの特徴であるCOLLECTIVEな力を発揮できるような場を作りたいと思っております。

領域制度になってから、領域2では、矢木雅敏、高部英明、吉田善章、田中雅慶、岸本泰明、小野靖と、領域代表がそれぞれ活性化に向けて努力してこられ、現在に至っています。いま、代表・副代表、前代表を含む12名からなる執行部体制が出来上がり、今後学会におけるプログラムの充実と、外に見える形での学会の活性化、特に日本学術会議との連携や、関連他学会との連携等積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

札幌での運営会議(2007.9.22)で認められた役員構成は以下のようになっております。役員を代表して、領域2の運営についてはよろしくお願い申し上げます。

領域2では、皆様からの率直なご意見を歓迎いたします。メール、電話、学会などでお会いした際直接など、手段を問わずご連絡お待ち申し上げます。

  役職名 名前 所属 本部向け任期 役員任期 担当
1 領域代表 石原修 横浜国立大学 2007/10-2008/9 2009/9  
2 領域副代表 田中和夫 大阪大学 2007/10-2008/9 2010/9  
3 領域前代表 小野靖 東京大学 2006/10-2007/9 2008/9  
4 役員(世話人) 赤塚洋 東京工業大学 2006/5-2007/4 2008/9 シンポ
5 役員(世話人) 澤田圭司 信州大学 2006/5-2007/4 2008/9 広報
6 役員(世話人) 草野完也 海洋研究開発機構 2007/5-2008/4 2009/9 シンポ
7 役員(世話人) 比村治彦 京都工芸繊維大学 2007/5-2008/4 2009/9 広報
8 役員(世話人) 渡辺智彦 核融合科学研究所 2007/5-2008/4 2009/9 大会
9 役員(世話人) 石井康友 日本原子力機構 2008/5-2009/4 2010/9 大会
10 役員(世話人) 吉村信次 核融合科学研究所 2008/5-2009/4 2010/9 広報
11 役員(世話人) 樋田美栄子 名古屋大学 2008/5-2009/4 2010/9 大会
12 役員(世話人) 欠員   2008/5-2009/4   シンポ